このたび、今からちょうど10年前…2001年7月に仙台を訪れた時に撮影し、Webサイトで発表した作品二編を、[works]内にて再びご覧いただくことにしました。
 


2011年3月11日。広く北関東から東北地方を、激震が襲いました。
東北地方太平洋沖地震。東日本大震災とも呼ばれるようになったこの未曾有の災害に、僕の父方のふるさとである仙台市は大きな被害を受けました。
仙台にいる両親と祖母、叔父は、無事の確認が直後に取れました。
しかし、沿岸部を襲った大津波、寸断されたライフライン…都市の基盤を、なにより人々の生活を揺るがす事態の長期に亘ることは確実視されている状況です。
杜の都と呼ばれ、美しい街並、そしてすぐそばに自然が広がる仙台の街。
幼少期から幾度となく訪れた僕のもうひとつのふるさとです。2002年10月には市立の芸術文化施設・せんだいメディアテークにて「せんだいアートアニュアル2002」に出展しています。
僕の血の半分を占める仙台の街。大都市でありながら、ゆっくりと風が流れる。その中に毎日がある……そんなイメージを僕はずっと持っています。
今からちょうど10年前にこの街を歩いた、その記録。
ひとつは、藩政時代からの街並の名残があった二十人町(にじゅうにんまち)界隈。当時既に再開発を控え、街並が大きく変わる中を歩いた、いにしえの仙台のたそがれ。
もうひとつは、いまの仙台…仙台の街並と文化を変えたとも言われるせんだいメディアテーク、欅並木の木漏れ日、滔々と流れる広瀬川…この街を流れる風の空気感を切り取れたらと思って撮った一編。
……この度再びこれらの作品をご覧いただこうと思ったのは、”記録”と”記憶”を通して、きのう・きょう・あしたを見つめ直すことができる写真のチカラを、この時だからこそ自分自身再確認し、そして、きっとどこかでご覧くださっているであろう仙台・宮城にゆかりのある方に届けることができればという想いからです。
10年前の、拙く、小さな写真ですが、ぜひご覧いただければ幸いです。
そして、美しき杜の都、東北の首都の再起を、今は遠く札幌から、強く願っています。
>> https://www.yuukiuryu.com/works/original/
2011年3月26日 ウリュウ ユウキ

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