遠くへ行きたい。行けない。行くには。そういうことばかりを、考えている。
いつも、いつも、ずっと。
---そして、こういう時だから。

遠くへ行きたい。行けない。行くには。
そういうことばかりを、考えている。
いつも、いつも、ずっと。

110ccのバイクで遠くまで行くようになって4シーズンになる。
話は遡る。50ccの原付を買ったのは、東京に暮らしていた時。これが初めて自分で走らせたエンジン付きの乗り物。
もう何十年も親しまれてきたバイクの丸っこい姿、それで決めたから、あまり細かいことは知らなくて。
吉祥寺から横浜まで、それが初めてのバイクの遠出。電車と全く勝手の違う移動時間の感覚。そして、初歩的なミスで白バイに止められる。50ccの限界。幸いなことに、僕の青切符はいまだにこれっきりだが。
それが原因というわけじゃないけれど、原付は長い旅に使うもんじゃないなと思ったのだった。
もっぱら生活の足として、半径10kmくらいを出歩く時に乗ってきた。北海道に来てもこれで遠出とは考えなかった。
そんな50ccの丸っこい小さいバイクに18年乗り、ひとまわり大きい110ccの、同じく丸っこいバイクに乗り換えた。
標識に書いてある速度まで出してもいい。高速には乗れないが、それでも、「遠く」へ行く旅ができるんじゃないかと思った。

そして、少しずつバイクでの旅をするようになった。
列車やバス、飛行機のように横を向き、窓の外を見ているのとは勝手が違う。景色の過ぎ去る感覚が違う。
それは、免許は持っているがクルマのハンドルを握る機会は決して多くはない僕に、今まであまりなかった感覚かもしれない。
"過ぎ去ること"を撮ってきた僕は、これをどう撮ったらいいか試行錯誤している。動画や映像もいいのかもしれないけれど、写真でそれをやりたくて。
斜めがけにしたミラーレス一眼と、バッグのストラップやバイクのハンドルに付けたアクションカメラと。
信号待ちで見つけた、旅をしてきた物体の、それは終の住処なのか、それとも、どこかへとまた旅立つためのしばしの休息なのだろうか。
再び走り出せば、まだ見も知らぬ「遠く」が近づいてくる。右手のスロットルを手前に握るほどに。左右の小さな丸い鏡に、この眼でいまさっき見た「遠く」が映り、去っていく。

いろいろな事情で時間が空いたこの春、限定解除をして400ccまでのバイクに乗れるようにした。
もうひと回り大きなバイクでも旅をしようと考えている。
それでも、この小さいバイクでどこへでも行ってしまおうという気持ちはこれからもおそらく変わらないだろう。

そういう時間のことを、随分と懐かしいもののように感じることがある。自分の部屋、窓の外を見ながら。

遠くへ行きたい。行けない。行くには。
そういうことばかりを、考えている。
いつも、いつも、ずっと。
---そして、こういう時だから。

2021年の夏の終わりに
ウリュウ ユウキ

感想ノート


私の「小樽・鉄路・写真展」への19回目の出展となります本作をご覧くださいまして、ありがとうございます。
例年私の作品脇に設置している「感想ノート」を、今年はウェブで用意します。本作へのご感想やメッセージを、ぜひお聞かせください。
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    ●2021 小樽・鉄路・写真展
    ・期間……2021年8月30日(月)~9月12日(日) 14日間
    ・主催……小樽・鉄路・写真展 実行委員会
    ・会場……小樽市色内2丁目10番地 旧手宮線跡地
    (JR函館本線 小樽駅/中央バス 小樽駅前ターミナルより中央通を徒歩7分 踏切跡地が入口です・マリンホール(小樽市民センター)裏手)
    ・時間……会期内は常時ご覧いただけます(最終日 9月12日は15:00まで)
    ・入場無料
    *ご来場にあたっては、公式サイト上の「ご来場時のお願い」をご一読の上、必ずマスクをご着用いただくなど、皆さまお一人お一人にて感染症対策をお取りの上ご観覧をお願いいたします。

     

    この特設ページは、9月末までの公開を予定しています。
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