【企画展/御礼】北海道立近代美術館『北海道151年のヴンダーカンマー』の会期終了にあたって
北海道立近代美術館での企画展『北海道151年のヴンダーカンマー』は、3月15日(日)で本来の会期を終えました。
この度の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2月28日(金)で途中休館せざるを得ず、再開の願い叶わず会期終了を迎える形となったことは本当に無念でしたが、ご一緒させていただき素晴らしい刺激をたくさんいただいた作家の皆さま、斬新かつ骨太の企画を作りお声掛けくださった館の皆さま、貴重な文化財をお貸しくださった各地の関連施設の皆さまと共に、150年”+1″の視点でブレずに作り上げることができた展覧会と自負しています。
僕自身、展示室を最後まで見た後、”そして、あなたにとって『北海道』とはなんですか?”と、問いかけられているように思いました。縁あってこの北海道に住まいし、そして創作活動を続けている一人としても、この一筋縄では答えの出ない問いを自分に問いつつ、自らの作品テーマであった「鉄道」の来し方行く末にこれからも注目を続け、そしてなによりも、自らの視座を信じて旅を続けていくつもりです。
展示の公開は約一ヶ月となりましたが、ご来館くださった皆さま、そして気にかけてくださった全ての皆さまに、改めて心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
先日お知らせしておりましたが、ウリュウの作品を1分間の動画にしました。ギャラリートークの音声を含めてのフルバージョンも追って公開しますので、ご覧いただければ幸いです。
道近美での初めての展示は、僕にとって長年の夢が叶った機会でした。思う存分に制作と展示に打ち込むことができましたし、その中からまだまだできること、やるべきことも見えてきました。ゆえに、新たなる旅が、また楽しみになりました。
この場を借りて、改めてお礼をさせてください。お声を掛けてくださった道立近代美術館の大下智一さん・松山聖央さんをはじめ学芸員・会場監視から警備まで全てのスタッフの皆さま、ありがとうございました。隅々にまで、こだわりと想いをひしひしと感じました。それだけに休館を一番悔しがっておられたのは、館の皆さまだと思います。またいつか必ず、道近美で展示させてください。そのためにも良い旅を続け、作り続けていきます。
“151年目の北海道”をそれぞれの視座と目利きで表現された、大友真志さん・小宮伸二さん・大島慶太郎さん・張小船さん、小林耕二郎さん(row&row)。歴史という途切れることのない地続きの道の上に、何らかの縁があっていま私たちが立っていて、ここから何が見えるのか、そしてこの先に何を見るのかをそれぞれの形で大切にされていた姿は、僕にとっても大変刺激と示唆に満ち、さらなる創作への糧になりました。実は開幕前の決起集会という名の飲み会にもオープニングにも全員が揃っていないので、再びお会いしたいです。ゆっくりお話ししたい事もたくさんありますので。またどこかにて、ぜひ作品とともにご一緒させていただけることを楽しみにしておりますし、そのためにがんばります。本展のメッセージやモチーフを見事にビジュアライズしてくれたクスミエリカさんと、それをAR化してくださった門間友祐さんにも御礼申し上げます。ポスターやフライヤー、図録、ほんと注目されていたし好評でした!
今回の展示では、全道から貴重な歴史的”現物”が集まりました。本物だけが語りかける、その力が展示室には溢れていました。僕の「鉄道」の章では、主に三笠鉄道村さん、道立図書館さんの全面的なご協力をいただきました。その他にも団体・企業蔵の貴重な現物とともに展示させていただけたことは、僕の見てきた光景が近代北海道の歴史、そして今年140年目となる北海道の鉄道の歴史の延長線上にあることを改めて認識させてくれました。
取材のために全道をJR北海道と、かつての鉄路をたどる十勝バス、日高と十勝を結ぶ鉄道を走らせる夢を継ぐと共に台風被害で止まったままの鉄路を代替する重責を担うジェイ・アール北海道バスで巡りました。北海道の津々浦々に人々が暮らし続け、往来し続けていける環境を守るために考えなければならないことはたくさんあり、それは決して人任せにはできないということも改めて感じました。”一筋縄では答えの出ない問い”を、それでも北海道の一人一人が考えることが、少しでも良い未来につながると信じます。
そして、いろいろと大変なこの時期に、道近美に足を運んでくださった皆さま。来館は叶わずとも気にかけてくださった皆さま。本当にありがとうございました。「白い壁に一枚の写真を掛けるとそこが窓になる、それってすごいことだよ」「過去にも目を向け、今ここから未来を見るという視点が濃密だった。3時間コースは伊達じゃない!」……一人一人の感想が、本当にうれしかったです。
旅を続け、その途上から発信する作家として、この先もさまざまな場所と形で皆さまに作品をご覧いただけるよう、作り続けてまいります。
これからもウリュウ ユウキの活動にぜひご注目、そして応援のほど、よろしくお願いいたします!
■『北海道151年のヴンダーカンマー』開催概要
出展作家:大友真志さん・小宮伸二さん・大島慶太郎さん・row&row(張小船さん+小林耕二郎さん)・ウリュウ ユウキ
会期:2020年1月25日(土)~3月15日(日)2月28日(金) *新型コロナウイルス感染症拡大阻止のため2月29日(土)より休館
月曜休館(2月24日は開館、翌25日休館) 9:30~17:00(入場は16:30まで)
会場:北海道立近代美術館 >> 公式サイト
札幌市中央区北1条西17丁目
地下鉄=東西線「西18丁目駅」(T07) 4番出口より徒歩5分
バス=JRバス/中央バス「道立近代美術館」下車すぐ(小樽方面との都市間バスも停まります)
市電=「西15丁目電停」(SC04) 下車 徒歩10分
お車=専用駐車場はございませんが、近隣の「ビッグシャイン88 北1条駐車場」の割引がございます
観覧料:一般 800(600)円/高大生 400(300)円/小中生 200(100)円 *( )内はリピーター割引(道立各美術館の特別展半券ご提示/有効期限あり)・団体料金
主催:北海道立近代美術館 共催:北海道新聞社 後援:札幌市、札幌市教育委員会